Column 〉ブランディングを意識したデザインの考え方やポイント
2025/01/15
ブランディングは、自社や自社商品・サービスの魅力や価値を広く知ってもらうための戦略全般のことを指します。ブランディングを成功させるには、言葉だけに頼って伝える方法では十分とはいえません。より効果的にブランディングを行うには、ブランディングを意識してデザインも変えていく必要があり、こうしたデザインをブランディングデザインといいます。
そこで今回は、ブランディングデザインの考え方やポイントについてご紹介します。
ブランディングデザインとは
ブランディングデザインとは、自社や自社商品・サービスのブランドコンセプトを視覚的に伝えるための方法です。
ブランディングデザインは様々な要素で展開されます。企業ブランドのロゴやシンボルマーク、WEBデザインをはじめ、商品パッケージや広告・パンフレット、実店舗を構えている場合はその外装や内装などもあります。使用するフォントやカラーといった細かい部分も、ブランディングデザインの一部です。
効果的なブランディングデザインは競合との差別化につながり、顧客とのエモーショナルなつながりを深め、ファンを増やすことを期待できます。そのブランディングデザインを見ただけで、企業名やブランド名が自然とでてくるようになれば成功といえるでしょう。
ブランディングが成功すると、マーケティングや広告に多くの費用を割かなくても自動的に売り上げの増加につながる流れがうまれるので、コスト削減や売り上げ増加にもつながります。
ブランディングデザインの役割・重要性
ブランディングデザインがブランディングにおいて、どのような役割を果たすのかをご紹介します。
文字だけでは伝えられないブランドの価値や世界観を発信する
デザインは視覚に訴えることができるので、文字の情報とは違った訴求が可能です。視覚から得る情報は、特に人間にとって影響が大きいとされています。限られたスペースや時間でブランド価値を伝えるためには、ブランディングデザインを用いることで文字だけでは伝えられない情報を含めてブランドの価値や世界観を発信することが有効です。
デザインを通して一貫性のあるブランド価値を発信する
顧客や消費者は、ロゴやウェブサイト、商品パッケージや広告、店舗の外観や看板といった様々な面から企業からのブランドメッセージを受け取ります。これらで発信されている情報におけるブランドデザインがバラバラであれば、企業や商品のイメージが統一されずブランディングはうまくいきません。一貫性のあるブランドデザインを採用することで、統一されたブランドメッセージを伝える役割を果たします。
一般的なデザインはそれ単体で魅力を伝えられれば良いものですが、ブランディングデザインではこの統一感が重要です。
感覚的にブランドメッセージを浸透させる
ブランディングデザインから、文字とは異なる抽象的なイメージを感覚的に伝えることができます。感覚的なイメージは老若男女かかわらず受け取ることができますし、言語の壁もありません。ブランディングデザインには、繰り返し目にし、抽象的なイメージを感じとってもらうことで、知らず知らずのうちに顧客や消費者にブランドメッセージを浸透させる役割が期待できます。
ブランディングデザインにおいて押さえておくべき重要な要素
ブランディングデザインをするにあたって押さえておくべき重要な要素についてご紹介します。
ロゴデザイン
企業の顔ともいえるロゴは、企業に関するあらゆる情報発信において使用されることになります。そのロゴデザインはブランドイメージに直結するといえるでしょう。伝えたいブランドイメージにマッチしたロゴデザインを採用することは、ブランディングデザインにおいて非常に重要な要素であるといえます。
カラー(コーポレートカラー)
この会社といえば赤色、黄色といったように、その会社のブランドイメージにあったコーポレートカラーを採用します。企業だけに限らず、商品・サービスブランドにおいても同様です。色によって人に与える印象は異なります。青は信頼や安心、赤は刺激や情熱といったように、色彩心理学によってどの色がどんなイメージを与えるのかということが判断できます。会社が発信したいブランドイメージにあった色を採用することは非常に重要な要素の一つです。
フォント
曲線的でやわらかい印象を与えるフォントを使うのか、曲線的で力強い印象をあたえるフォントを使うのかによって印象が異なります。人間が声によって与える印象が異なるようにフォントによって与えるイメージも異なりますので、ブランディングデザインにおいて伝えたいブランドイメージにあったフォントを選択することは重要な要素です。フォントの選択だけではなく、サイズや太さといった部分もブランドデザインにおいて配慮すべき要素といえます。
イラストや写真などの素材
ブランディングデザインを考える際に、写真やイラストなどのイメージ素材活用することは重要な要素です。写真やイラストなどのイメージ素材はそれ単体でも多くの情報を伝えることができますので、ブランディングデザインにうまく組み込むことで伝える力を高めることができるでしょう。
ブランディングデザインを考える時のポイント
ブランディングデザインを考えるときに押さえておくべきポイントについてご紹介します。
ブランドコンセプトの明確化
最も重要なのは、ブランドコンセプトを明確にすることです。ここが決まっていなかったり、ぼんやりしたままでは、効果的なブランディングデザインはできません。基本的な価値観やビジョンを明らかにし、どのようなことを伝えたいのかを明確にしましょう。
ストーリーを考える
ブランドのビジョンやミッションを伝えるには、そこに至るまでのストーリーを伝えることが重要です。ブランディングデザインを考える場合においても、そのストーリーを理解し、それに沿ったデザインを考える必要があります。
ターゲットの明確化
何を伝えたいかということだけを考えて一方的にブランディングデザインを考えてしまうと、受け手にうまく伝わりません。どんな顧客・消費者をターゲットとしてブランディングデザインを考えるのかを明確化しましょう。年齢層、性別、属性などを大まかに決めるだけではなく、ライフスタイルや家族構成、趣味や特技などまでイメージしてある1人の人物(ペルソナ)を作り上げると、ターゲットがどんなことに共感するのか、どんなニーズがあるのかなどを深く理解することができるので、ブランディングデザインを考えやすいです。
ブランドイメージを言語化してキーワードを決める
イメージだけでブランドデザインを考えることは難しいです。デザインは文字で表現するわけではありませんが、イメージを言語化し、ターゲットに対してブランドコンセプト・ストーリーを伝えるためのキーワードを決めることで、ブランディングデザインの方向性を決めやすくなります。また、人によって異なる解釈をしてしまうリスクを防ぐことができます。
差別化ポイントを意識する
ブランドのビジョンやコンセプトを考えても、数ある競合ブランドと同じような内容ではターゲットに刺さりません。競合との差別化ポイントを意識して独自のポジションを確立できるようなブランディングデザインを検討する必要があります。
客観的な意見を取り入れる
ターゲットやキーワードを決めた上で考えたブランディングデザインですが、作成者本人だけでは本当に伝えたい内容が伝わるデザインになっているか判断するのは難しいです。そこで、出来上がったデザインは第3者からの意見を聞き、必要に応じて修正を加えるようにしましょう。
ブランディングデザインを考える時の注意点
ブランディングデザインは、一般的なデザインとは目的が異なります。目的を達成するためのデザインを考える時に、どんなことに注意したら良いのかをご紹介します。
ブランドメッセージを伝えるという目的を忘れない
ブランディングデザインの目的は、顧客や消費者にブランドのメッセージを伝えることです。この大前提をいかなる時も忘れてはいけません。デザイナーであれば、いかに魅力的で個性的なデザインにするかということに注力してしまいがちですが、いくらオシャレでかっこいいデザインをつくっても、それがブランドイメージと異なっていては意味がありません。その点には十分に注意してブランディングデザインを考えるようにしましょう。
外注する時の情報共有は念入りに
デザイン業務にはスキルや経験が必要です。社内にデザイナーがいない場合、ブランディングデザインを外部のデザイナーに外注することもあるでしょう。
ブランディングデザインにおいては、まずブランドのビジョンやコンセプトを理解しておく必要があります。社内の人間と違って外注のデザイナーは企業に対する知識や思いがありませんから、一般的なデザインを外注する時以上に念入りな情報共有を行うようにしましょう。
インナーブランディングも重要
インナーブランディングとは、企業が自社のビジョン、ミッション、価値観を従業員に浸透させ、従業員が正しくブランドを捉え、体現できるようにすることです。デザイン面においても、レギュレーションなどの運用ルールを作成し、複数の担当者が入っても方向性がブレないようにすることが重要です。
まとめ
ブランディングデザインは、言葉だけでは伝えきれないブランドイメージを伝える役割を果たします。
ブランディングを意識したデザインの考え方の軸となるのは、「ブランドメッセージを伝えるためのデザインを作る」ということです。そのためには、自社のブランドのコンセプトを考え、言語化し、差別化ポイントを意識してデザインを考えていく必要があります。
効果的なブランディングデザインができれば、企業や商品のファンが増え、企業の利益向上にもつながるでしょう。
企業のロゴやウェブサイト、パッケージやパンフレットなどを作成する際には、ブランディングを意識したデザインをしてください。