Column 〉広報誌の制作費の費用相場とは?費用を抑える方法や委託先を選ぶ時の注意点をご紹介
2024/07/04
会社や団体で広報誌を作ろうと考えた時、気になるのはその制作費です。
広報誌といっても、そのページ数やサイズ、紙質、デザインなどによって費用は異なりますので、相場を把握するのは難しいです。とはいえ、相場がわからないままですと、外部に制作を委託することになっても、提示された料金が妥当なものかどうか判断することができません。
そこで今回は、広報誌を作る際に参考にしたい制作費相場や費用を抑える方法、委託先を選ぶ時の注意点についてご紹介します。
1. 広報誌制作の工程
広報誌の制作を外注するといっても、どの工程を依頼するかによって費用は異なってきます。そのため、どこまでを外注するのかということを検討する必要があります。
この章では、一般的な広報誌制作の工程についてご紹介します。
1-1. コンセプト・企画の立案
広報誌を制作するには、まずコンセプトや企画内容を決定します。
広報誌を読む人に何を伝えたいのか、何のために広報誌を作成するのかを考えてコンセプトを決め、それに沿った企画内容を決めていきます。コンセプトを決めずに作り始めると広報誌全体の統一感がなくなってしまいますし、せっかくお金をかけて広報誌を発行することの目的を達成できません。企画内容についても、コンセプトに沿っていることはもちろん、企業や団体の魅力を際立たせるものを考える必要があります。
コンセプト・企画の立案は、広報誌の内容としての質を決める重要な要素といえます。
1-2. デザイン
広報誌は、文字だけで構成されるものではありません。どんな写真やイラストを使うのか、どのような色を使うのかといったデザイン性も重要です。コーポレートカラーをうまく取り入れたり、会社や団体のイメージにあった雰囲気にしたり、デザインを考えていきます。
1-3. 進行(スケジュール)管理
広報誌作成全体の進行(スケジュール)管理も必要です。依頼者にヒアリングを行い、企画や提案をすることはもちろん、デザイナーやカメラマンへの依頼や指示、修正の指示など、納期に合わせて納品ができるように進行管理を行います。
1-4. 撮影・イラスト作成・取材
広報誌に載せる写真を撮影したり、オリジナルのイラストを作成したり、記事制作のための取材を行ったりする必要があります。依頼者側から写真を提供したり、素材写真やイラストを使用したりするケースもあります。
1-5. 原稿作成
取材した内容などをもとにして、広報誌に掲載する原稿を執筆します。本文だけでなく、キャッチコピーを作成する場合は追加の費用がかかる場合が多いです。
1-6. 印刷・製本
原稿が完成したら、カラーなのかモノクロなのか、どんな紙を使用するのか、どのように製本するのかなどを決定し、印刷・製本を行います。
2. 広報誌制作費の相場
冒頭にもご紹介したように、広報誌の制作費はページ数やサイズ、紙質、デザインなどによって大きく異なりますので、明確な相場を示すのは難しいです。いくつかの観点で相場観をご紹介していきますので、参考にしてみてください。
2-1. ページ数別の費用相場
広報誌に限った話ではありませんが、冊子の制作部数によって費用が異なり、多ければ1部あたりの費用は安くなり、少なければ高くなります。今回は、1000部の場合の費用相場とします。
広報誌として採用されることが多い、両面フルカラー・A4・中綴じ冊子タイプで、企画・デザイン・原稿作成・印刷・製本を外注した場合の、ページ数別の費用相場をご紹介します。
8ページ | 35〜70万円 |
12ページ | 50〜100万円 |
16ページ | 65〜130万円 |
20ページ | 80〜160万円 |
デザインや原稿内容、印刷用紙などにこだわった場合は、倍以上の費用がかかることもあります。
2-2. オプション別の費用相場
ベースの料金を設定し、それに対して工程別のオプションとして企画や写真撮影費用などを追加していく形で料金を設定している業者も多いです。
ここでは、オプション別の費用相場をご紹介します。
2-2-1. 企画設計
コンセプト、企画、構成などの設計を行います。
1ページ | 1〜2万円 |
2-2-2. 写真撮影
カメラマンによる撮影を行います。スタジオ撮影やロケーション撮影などによっても金額は異なります。
4時間 | 5〜8万円 |
半日 | 10〜15万円 |
2-2-3. ライティング(取材)
業者が1から原稿を作成する形式です。取材の有無や文章量によっても金額は異なります。
1ページ | 2〜4万円 |
2-2-4. リライト
依頼元からベースとなる文面を提出し、それをリライト(加筆修正)する場合の費用です。文章量によって金額は異なります。
1ページ | 1〜2万円 |
2-2-5. イラスト作成
オリジナルのイラストを作成する場合の費用です。本文中に使うカットイラストは、安価な場合が多く、表紙などで使用する作家性の高いイメージイラストは高価な場合があります。
カットイラスト | 1点 | 5,000〜1万円 |
イメージイラスト | 1点 | 3万〜15万 |
2-2-6. 校正、校閲費
印刷前に、誤字脱字や表記揺れ、矛盾点がないかどうかなどを確認する作業です。本番印刷前に色味を確認する色校正もあります。
1ページ | 5,000〜2万円 |
2-2-7. データ納品
制作元のデータを納品する場合に必要となる費用です。著作権については各社規定によって異なります。
1ページ | 1〜2万円 |
2-3. 工程別の費用相場
企画や原稿作成は自社で行ってデザインと印刷だけを外注するなど、部分的に外注する場合もあります。ここでは、オプションでご紹介した以外の基本工程部分における費用相場をご紹介します。
2-3-1. デザイン費用
初回の打ち合わせのみでお任せするようなパターンの場合は比較的安いですが、何度もやりとりを繰り返す場合や、ページごとにデザインパターンを変える場合などは高額になります。
1ページ | 1〜3万円 |
※表紙デザインの場合、3〜5万円と高めの設定である場合が多いです。
2-3-2. ディレクション費用
会社によって、ディレクションに含まれている内容が異なる上に、どれくらいのやりとりが発生するのかによって大きく値段が異なる部分です。
8ページの企画・デザイン・写真撮影・取材・原稿作成・印刷・製本を外注した場合の目安相場をご紹介します。
1案件 | 5〜20万円 |
2-3-3. 印刷費用
印刷費用は、ページ数、カラー、用紙、綴じ方などによって費用が異なります。特に、部数が多いほど1冊あたりの費用が安くなる割合が大きい部分です。ページ数を16ページもしくは8ページの倍数にすると印刷としては効率の良いページ構成となります。また印刷用紙によっても大きく異なり、同じページ数であっても用紙によっては数倍の価格差が出る場合があります。価格を抑えるということであればコート紙・マット紙・上質紙の135kgまでの厚さのものを使用することをおすすめします。発注先によっては、納品日までの日数によっても金額が異なる場合があります。
8ページ・両面フルカラー・A4・中綴じ冊子タイプで、コート紙110kg、5営業日以内での費用相場をご紹介します。
500部 | 3万5千円〜 |
1000部 | 5万円〜 |
3. 広報誌を安く制作するためのポイント
広報誌の制作においては質が大切ではありますが、それでも少しでも安く制作したいというのが本当のところでしょう。
この章では、広報誌の制作費を安くするためのポイントをご紹介します。
3-1. 内容を見直す
ページ数を減らしたり、カラーページを減らしたりすることで、価格を抑えることができる場合があります。広報誌の内容を見直して、本当に必要な内容で構成されているのか?カラーページである必要はあるのか?というポイントを確認しましょう。ただし、すでに企画や撮影、デザインが完了した後で減らしても、価格に反映されない場合もあります。またページの位置によっては色数を減らすことが価格を抑えることにならない場合もあります。企画段階や、過去の広報誌を見直す時点で、印刷の仕様が効率的なものかどうかも含め事前に検討する必要があります。
3-2. 写真や原稿を自社で用意する
プロによる撮影や原稿作成は費用が高くなりますので、自社で作成することによって費用を抑えられます。写真も原稿も質は大事ですが、自社内での撮影だからこそ引き出せる人物の表情やインタビュー内容もあるでしょう。表紙などの目立つ部分のみプロに依頼するという方法もあります。また撮影を依頼する際はなるべく撮影日を調整してまとめて撮影するようにしましょう。文章作成については、ベースの文章を提出してリライトしてもらう方法をとれば費用を抑えつつ整った文章で掲載が可能です。
3-3. 複数社で見積もりを取って依頼する
すでにご紹介したように、広報誌の制作費にはかなりの差があります。内容によるものもありますが、業者によっても価格設定が異なりますので、1社だけで見積もりをして依頼をすると質に見合わない金額を提示されてしまう可能性もあります。過去の制作物も確認し、同等の質、サービスであれば費用の安い業者に依頼することで費用を抑えられます。
3-4. 余裕を持ったスケジュールにする
急ぎの対応を依頼すると、追加の費用がかかるケースが多いです。余裕を持ったスケジュールを組むことによって、費用を抑えることができます。
4. 委託業者を選ぶ時の注意点
広報誌などの冊子を制作している会社はたくさんあります。委託先を誤ると、質の面や費用の面で後悔することになるかもしれません。
委託会社を選ぶ時の注意点をご紹介します。
4-1. 相見積もりを取る
費用を安くするポイントでもご紹介しましたが、信頼のおける業者に委託をするためには相見積もりは必須です。価格や質だけではなく、対応の仕方なども含めて比較検討しましょう。
4-2. 実績を確認する
広報誌の制作においては、完成物を見る前に委託先を決めなければなりません。その際、参考になるのが過去の実績です。デザインや文章の好みや相性もありますので、よく確認しておくことをオススメします。
4-3. 契約内容を確認する
契約をするときには、依頼したい作業内容が全て含まれているか確認するようにしましょう。広報誌の制作工程は複数ありますので、抜け漏れがないかのチェックは必要です。
4-4. 追加の費用が発生する場合とその費用
どこまでの作業を含まれているかを確認するとともに、追加費用が発生する場合とその費用も確認しておきましょう。「これくらいなら対応してもらえるだろう…。」と考えていたら、高い追加費用がかかってしまったということにもなりかねないので、注意が必要です。
5. まとめ
広報誌は、金額だけではなく質も大切です。金額が安くても、企画内容や写真、紙の質感や 印刷の美しさなどが劣っていては意味がありません。
金額にとらわれず、質やサービスについてもよく確認し、信頼できる業者に納得できる価格で依頼するようにしてください。