Column 〉重要性が高い広報誌のデザインとは?デザインのポイントやヒントの探し方を解説
2024/10/15
企業などの各種団体が広報誌を制作しようと考えたとき、内容だけではなく非常に重要な役割を担うのがデザインです。
広報誌は団体のイメージや現状を伝えるための重要なツールであり、掲載される内容は幅広いです。企業の商品やサービスが紹介されたり、従業員や生徒などの人物が紹介されたり、団体の新しい取り組みが紹介されたりしますが、それらをわかりやすく魅力的に伝えなければなりません。
基本的には無料で配布されるものであり、読者の層も幅が広いので、多くの方にとって読みやすく、魅力的なデザインにすることが望ましいです。
そこで今回は、広報誌のデザインの重要性をお伝えするとともに、採用すべきデザインの考え方についてもご紹介します。
1. 広報誌におけるデザインの重要性
広報誌は必ずしも目を通さなければならないものではないことが多いです。そのため、パッと見たときに伝わる魅力の程度によって、読んでもらえるか、読んでもらえないかが決まることも多いです。手に取ったとき、ぱらぱらめくったときに魅力を感じてもらうことができれば、きっと文字を読んでもらうこともできるでしょう。つまり、初めの印象を左右するデザインが非常に重要なのです。
読み始めてからも、文字の羅列だけでは途中で飽きてしまって読むのをやめてしまう可能性がありますし、読みにくいと感じてしまうとせっかくの内容も頭に入ってきません。
興味を継続させられるようなデザインや、読みやすいレイアウトにすることは、広報誌を手に取った方に中身をしっかり読んでいただき、さらに内容を理解してもらうためにも重要だといえます。
また近年、紙媒体だけでなく、WEB媒体も併用して広報情報を発信するケースも増えています。WEB媒体は紙媒体とは見え方が異なるので、それぞれにあったデザインを採用することも重要です。
2. 広報誌デザインのポイント
広報誌のデザインを考えるにあたり、押さえておきたい重要なポイント3点をご紹介します。
2-1. 目的とターゲットを考える
広報誌を制作する際には、何を目的としているのか、誰に読んでもらうのかを考えることが非常に重要です。それは、コンテンツや文章だけではなく、デザインにも同じことがいえます。その目的を達成するためには、どんなデザインが最適なのかということを軸として考えるようにしましょう。デザインは、企業などの団体のイメージを伝えるという面においても影響が大きいです。
2-2. 読みやすさ・わかりやすさを重視する
広告などとは違い、パッと見た時の印象が良かったり、インパクトが良かったりするだけでは広報誌の役割を果たせません。また、文章の羅列だけでも読みづらいですし、情報が適切に伝わらないことも考えられます。
広報誌は、ストレスなく読み進めることができ、さらに理解しやすいことが非常に重要です。そのためには、レイアウトを含めたデザインの工夫が必要です。常に読み手の視点に立って考えるようにしましょう。
2-3. ビジュアルコンテンツを効果的に使う
広報活動においてはビジュアルコンテンツの活用が非常に重要です。ビジュアルコンテンツとは、写真やイラスト、グラフやチャートのことです。
ただ文字を羅列するのではなく、ビジュアルコンテンツを効果的に使うことで、メッセージをより深く伝えることができ、読み手に深く印象を残すことができます。そのことは記憶の定着にもつながり、エンゲージメントを向上させることにもつながります。
目的に合った文章と、それにマッチしたビジュアルコンテンツを採用することで、読み手の興味を引くことができます。
3. 広報誌デザインに欠かせないエディトリアルデザインとは
広報誌の制作においては、広告のようなグラフィックデザインだけではなく、エディトリアルデザインの知識が欠かせません。
この章では、エディトリアルデザインについてご紹介します。
エディトリアルデザインとは、冊子やパンフレット、雑誌や書籍などのページデザインのことです。エディトリアルデザインはグラフィックデザインの一部であり、編集を伴うページのデザインのことを指します。誌面サイズやページ数が決まっている中で、いかに魅力的なデザインをし、最後まで読んでもらえるようにするのかがポイントとなります。
広告も同様ではありますが、メインビジュアルやメインコピーで興味を惹きつけ、一段階進んでさらにビジュアルとコピーで誘導し、本文で詳細を伝えます。基本的には、メインビジュアルほど大きくレイアウト、詳細に行くに従って小さくレイアウトします。大見出し、リード文、中見出し、本文をどのようにレイアウトするのか、ノド・小口・天・地はどれくらい余白を残すのかなども、デザインをする上で意識する必要があります。
発注側としても、このエディトリアルデザインの知識を持っていることで、デザイナーとの打ち合わせがスムーズに行くでしょう。
4. 広報誌デザインの具体的な工夫
広報誌のデザインを考えるにあたって、具体的にどのようなポイントを意識して、工夫をしていけば良いのかをご紹介します。
4-1. 全体のバランスを考えてレイアウトをする
ページ全体のバランスや、冊子全体の統一感を持たせたレイアウトをしましょう。
レイアウトによって読みやすさが大きく左右されます。目線の動きなども考えながら、レイアウトを考えましょう。
4-2. 色を使いすぎず、色味を揃える
色をたくさん使うと華やかなイメージにはなりますが、広報誌においては最適とはいえません。色味が多いと、文字が読みづらくなってしまうのです。広報誌ではあまり色を使いすぎず4色程度にし、さらに色味を揃えるようにしましょう。
色味については、コーポレートカラーを基調としたり、ターゲットに合わせたりすると良いです。全体のカラーに統一感があるとスマートな印象になります。
4-3. テーマにあったユニバーサルフォントを使用する
ユニバーサルフォントとは、可読性、表示適性、視認性、識別性に配慮した誰もが見やすくて読みやすいように工夫されたフォントです。
これまでにもお伝えしたように、広報誌では読みやすさがとても重要になりますから、デザイン性だけではなく読みやすさを重視したユニバーサルフォントの利用がオススメです。その中でも、広報誌のテーマにあったものを選ぶことでデザイン性にも優れた仕上がりになります。
また、高齢者が多い場合は大きめのフォントを使用するなど、フォントサイズにも気を配る必要があります。
4-4. 最適なビジュアルコンテンツを選択する
写真やイラストの選択、どんなグラフやチャートを使うのかを考えるのもデザインの領域です。ビジュアルコンテンツは特に印象に残りやすいですので、いかに内容にマッチしたものを選択するか、テーマに沿ったものを選択するかによって広報誌全体のデザインの印象が大きく異なります。
5. 広報誌デザインのヒントの探し方
広報誌のデザインを1から考えるのはなかなか難しいものです。まずは、参考になるような広報誌を探してみましょう。
広報誌デザインのヒントの探し方をご紹介します。
5-1. 広報誌コンテストの受賞作品をチェックする
日本広報協会が実施している自治体向けの広報コンテストなど、WEB検索をしてみると広報誌向けのコンテストの受賞作品をみることができます。数多くの広報誌の中で評価された広報誌ですので、ヒントになる部分も多いです。
5-2. Pinterestで「広報誌」を検索する
Pinterestは、web上の様々なアイデア(画像・動画・商品)を検索して「ピン」と呼ばれるブックマークで集めていくサービスです。Pinterestで「広報誌」と検索すると、他のユーザーがブックマークした様々な広報誌の画像が出てきますので、そこからヒントを探すことができます。
5-3. 印刷会社の事例をチェックする
印刷会社では、過去に手がけた広報誌を事例として公開している場合があります。自信のあるものを事例として紹介することが多いので、魅力的な広報誌のヒントになります。
6. 広報誌のデザインを外注する時の費用やポイント
魅力的な広報誌を自社で全て作ることは難しいと感じることも多いと思います。特に、デザインについては専門性が高いので、写真や原稿は用意できてもデザインまで自社で行うのは難しいという場合は、デザインを外注するという選択肢もあります。
広報誌のデザインを外注する時の費用やポイントをご紹介します。
6-1. デザイン外注の費用相場
質や納期によっても異なりますが、デザインのみの依頼であれば1ページあたり10,000〜15,000円程度が相場ですので、参考にしてください。
写真を撮影したり、加工をしたり、イラストをオリジナルで作成したりする場合は、プラスアルファで料金がかかってきます。上限を超えた修正を加える場合にも、追加料金がかかる場合が多いです。
6-2. 外注業社に依頼する時のポイント
デザインを外注する場合は過去の作品などを確認し、イメージに近い物があるところを選ぶと失敗が少ないです。また、実績が豊富にあるところは、それだけの経験と信頼があるということなので安心です。
また、手間はかかりますが、複数社で見積もりを取ってから依頼先を決めるようにしましょう。
7. まとめ
広報誌の制作においては、コンテンツの内容はもちろんですが、デザインが占める重要性が高いです。広報誌を制作する際には、そのことを念頭に入れて進めるようにしましょう。
広報誌のデザインは、イメージやインパクトだけではなく「読みやすく」「わかりやすい」ことが大切です。広報誌にとって良いデザインを考えたり、デザイナーとスムーズにやり取りができたりするように、エディトリアルデザインの知識をある程度つけておきましょう。
広報誌のデザインを考えることは専門性が高いため、自分たちで制作することが難しいと感じる場合は外注をすることも検討してください。費用はかかりますが、人員をさいて手探りで進めていくよりも、効率的に質の高い広報誌の制作ができるでしょう。